溺愛宣誓
ディスプレイに彼の名前を確認して私はいそいそと電話に出てみた。
『何でそこにいるんだ。』
開口一番そう言われた。
織田さんの声が聞こえたらしい保奈美ちゃんが「けっ。いきなり亭主関白気取りかよっ。」と突っ込む。
「え?えっ?…えーと、今夜は同僚の保奈美ちゃんとお仕事後に夕食がてらちょっと呑みに出ておりまして…」
『ああ、うん。それは聞いたから知ってるよ。同性とのお付き合いも大切だからね。俺は彼氏として大らかな気持ちで送りだしたね。そして俺はどうせカノと会えないんなら仕事でもしとくかぁ、と大して急ぎでもない残業してたんだ。』
「『その気遣い強いな俺を差し置いて貴様は何故ここにいるんだ、難波。』」
重複した唸り声。
顔を上げてみればテーブル脇のウェイターの定位置に織田さんが仁王立ちしていた。
織田さんの虫けらを見下すような視線に大三さんが「あ、あれ?」と笑顔を引きつらせる。
「え?俺が居れば友達なんて必要ないだろ?そんな約束無くなりゃイイのにッ!…と切実に思いつつ、あんまり束縛して彼女に「心狭い男ねぇ…」なんて思われたくないし、ここは器のデカイ所を見せておこうと俺は余裕も綽綽に「楽しんでおいで」なんて言ったさ。直ぐにでも迎えに行きたい衝動を抑えるために残業に手を染めてまでしてなっ!しかし集中していたお陰で仕事なんて直ぐに無くなるわ、益々持って衝動が抑えられず、ちょっと様子を見るだけだから。開始早々一時間で連れて帰ろうなんて思ってないから。あくまで見るだけだから。と自分に言い訳しながらここまで来てみりゃ―――…何で定時で上がった難波がちゃっかりココに居るんだ。」
「えぇっと……良く分からなかったけど、織田っちがその長文を一気にまくしたてる程オカンムリなのは良く分かった。」
「貴様、俺がどんな気持ちで性もねぇ残業してたと思ってんだ?ア゛ァン?それを貴様はっ、俺がっ、がぁぁぁっ。」
「ご、ゴメン、ゴメンね!? いつも通り恋人より仕事優先なのかと思って、特に気にせず放置して来てしまいました。正直まさか織田っちがこんな壊れるほど思い詰めてるなんて思ってませんでしたぁッ!」