東京血風録
あの敗戦からもう4日も経つ。
遥はまだ立ち直っておらん。
何のつもりか、儂を抱いたままソファーで寝そべっているのだ。
厠へ行くのと飯を食う以外はほとんど動いておらん。
風呂にも入らんとは、ショックの程が窺えるわけだが。
因みに、遥がいるのは都内にある、父の残したマンションである。
ずっと帰ってなかったのだが、敗戦以降
このマンションに引きこもっていた。
最初は事務所におったのだが、まず加倉井が依頼の進捗状況と結果について話しに来た。
一応は、成功ということで話が進んでいるらしい。
その時に壊した物とかの代金をどうするか、思案のしどころだとも言っていた。
その後、藤堂飛鳥が詫びに来た。
謝り方が尋常ではなく、こいつほっといたら良からぬ事をしでかすのではないか?
と心配するほどの狼狽ぶりで、自分がついていながらすいませんすいませんと、しきりに謝っておった。
藤堂飛鳥の怪我も深刻で、右肩の脱臼と右肋骨が3本ほどひびが入ったそうで、テーピングでガチガチに固められていた。
そして、藤堂飛鳥のように王道遥を支援する者が他にもいることを告げてきた。
なんでも、電話で話しただけなそうだがいかにもキレ者であるらしい。
そう伝えると平謝りのまま退場した。
そうした、嬉しいながらも煩わしさと、霧華に会わせる顔がなく、引きこもったのである。