サザナミ少年少女探偵団Ⅰ
「は!?盗作疑惑?!」
春亜は耳を疑った。
咲久の話では、咲久の六歳年上の姉、楽久(らく)が『道化師』名義で作ったとされる歌が、盗作ではないかという噂が広がっているという。
「そうなの……でも、絶対お姉ちゃんはそんなことしてない!作詞家と作曲家を目指して、いつも頑張って曲を作ってるの、見てるもん!」
悔しそうに拳を握り締める咲久を見ると、嘘ではないようだ。
「ねぇ、春亜ちゃん昨日、自分は超幸運に恵まれてるって言ってたよね?!お願い、どうにかして!」
「どうにかって……どーにかって言われてもねぇ……」
涙目で必死に春亜の手を握る咲久。
春亜は居たたまれないような気持ちになり、視線を反らすと、その先に夏音がいた。
仕方ない、任せよう。
「な、夏音はどう思う?」
「ぴゃっ?!」
体操着を入れた鞄を抱きしめ、プルプルと首を振る夏音。
「わ、私はダメ……!関わったら、皆、死んじゃうかもしれない……!」
言うが早いが、夏音は逃げるようにその場から行ってしまった。