サザナミ少年少女探偵団Ⅰ
「え、えぇ?!ら、楽久さん?!」
「こんにちは、春亜ちゃん。今日はわざわざありがとうね」
ハキハキと話すその口調とスタイル、顔立ちは、春亜の知ってる楽久とは全く印象が異なっていた。
ぱさついていた髪は、今は後れ毛一つなくてっぺんでお団子にされていて、昨日と比べて肌や瞳にも潤いがある。
服装も、シャキンとしたゴスパンク風のスーツの様な格好で、背筋がピンと伸びていた。
頭から爪先まで、何度見ても昨日と変わっている。
「今日は、友達と『戦う』んだからね。気合入れないとと思って!」
そう言う楽久の目は燃えていたが、口元が明らかに楽しそうに笑っている。
「お姉ちゃん、なんか楽しそうにしてない?昨日までの緊張はどこ行ったの?!」
「んー……私、実は舞衣と会うの凄く久しぶりなんだよね……会うのが楽しみって気持ちも、ほんのり混ざっちゃってる」
……そうだ。
これまで全員、ずっと小野寺 舞衣を敵視していたが、彼女は楽久の旧友でもある。
一度裏切られたのに、今、楽久はちゃんと面と向かって抗議しようとしている。
楽久は、強い。
「さ、皆、行こうか。そろそろ待ち合わせの時間だよ。陰で応援しててね」
ベンチからぴょんと降り、先頭を切って歩く楽久と、咲久、夏音、季希、春亜の順で、約束の場所へ向かう。
迷いの無い楽久の背中を見つめながら、春亜は一人、拳を握り締めた。