溺愛クルーズ~偽フィアンセは英国紳士!?~

「食べたら、ボルタリングルームを予約しておいているから、行こう」
「嘘! 行く行きます。贅沢ばっかで絶対太ったもん。身体動かしたいっ」

セットしてない髪を撫でながら、ジェイドさんが不思議そうに私を見る。
エステ行って、美味しいもの食べて、プールに浮かんで、美味しいもの食べて、熱出して美味しいもの食べて。

今は本当に、体重計に乗りたくないぐらいだ、怖い。

「そう? ナホは全く太ってないよ」
「それ! 全然嬉しくないです。甘やかしても、良い結果は私には来ないんですからね」

食べようと思っていたパインを、フォークに刺す前に、辞めた。
果糖も怖いことは、私の昔の経験から良く分かっている。

「高校の時も部活引退した後に、運動しなくなったくせに食べる量が減らなくて、か――」

甲斐と、言いそうになって、つい口を押さえてしまった。

何で、今、こんな時にあんなやつの名前が出て来てしまったのだろう。

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