大阪セカンドシンデレラ



「美紀、えらい今日はご機嫌やな。」



私を横目に見ながらぶっきら棒に言う。



「そうかなぁ。」



「ビリケンさんの目は誤魔化せても、アタシの目は誤魔化されへんで。」



「ゆかちゃんってビリケンさん好きだよね。」



「当たり前やろ。通天閣の下で商売出来るのも、ビリケンさんのお陰やからな。で、何があったんや?」



智君といい、ゆかちゃんといい…。


私ってそんなに分かりやすいのかな?


恥ずかしく思いながらも、ゆかちゃんには誤魔化せないと思い、正直に話す事にした。



「この前ね、いつものように公園で通天閣の絵を描いていたの。そしたら突然声を掛けられて、『立派な通天閣ですね。』って。以前から私が絵を描いているのを知っていてね。いきなりだったから、びっくりしたけど、とても爽やかな人だったの。その人も通天閣が好きで、少し話したけど、とても雰囲気の良い人で、会えて良かったなって思って。」



「ふーん。」



「何?聞いといてその反応。」



「別に。美紀が恋したんやなぁって思っただけや。」



「ち、違うよ。恋とかじゃなくて、褒められて嬉しかっただけなの!」



「そんな事言うけど、美紀だって恋の1つや2つしてるやろ?自分で恋だって分かってるんやろ?」



「恋じゃないって!」



必死に否定しながらも、もしかしたら、とは思っていた。


しかし、ただの一度声を掛けられただけなのに、それがすぐに恋と結びつけるのはどうかとも思っていた。



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