怪盗ダイアモンド


「やばい!早く教室戻らなくちゃ!」

急いで走ろうとする亜希乃の肩を、瀬川さんが軽く叩いた。

「ゆっくりでも構いませんよ。
遅れた理由を聞かれたら、校内で迷ってしまった私を職員室まで連れて行った、と話せば大丈夫です。
日本人は時間に縛られすぎですからね、私といる時くらい、もっとのんびりしてください」

瀬川さんの茶目っ気たっぷりウインク&唇に人差し指を当てるポーズは、亜希乃のハートにクリーンヒットしたらしい。

「ふぁ、はい……♡」

「「……」」

授業が始まり静かになった校舎の中。

阿弓は目の前の出来立てリア充カップルに、私は明日どうしようかと悩み、呆然としていた……―――

























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