君と花を愛でながら
「それじゃ、送っていただいてありがとうございました。……帰り、大丈夫です?」
「平気だよ、思ったほど積もりそうではないし」
微笑んで頷いた片山さんに、ぺこりともう一度お辞儀をしてドアを開けた。
雪はさっきまでよりも少し小ぶりの、粉雪になっていた。
バタン、とドアを閉めるとすぐに、助手席の窓ガラスが降りて片山さんが助手席側まで身体を乗り出して、窓から私を見上げていた。
「綾ちゃん、俺来月からもう店にはいないけど……」
「えっ? 四月からじゃないんですか?!」
驚いて私も身体を屈ませた。
車のドアの窓に、白い手袋の手をかけて車内を覗き込む。
「その予定だったんだけどさ、色々準備もあるし、向こうの店も早めに来て欲しいっていうからさ。三月一日から行くことになった」
「三月一日って……もう来週じゃないですか!」