君と花を愛でながら
「後輩にちゃんと引き継ぎは済ませてあるからさ、綾ちゃんの大事な店にはなんの支障もないよ」

「そ……そんな意地悪な言い方しないでくださいよ!」



泣きそうになりながら、窓に縋り付いて車内の片山さんの顔を覗いた。



「私は、一瀬さんもいて片山さんも居るあの雰囲気が大好きでっ、三人で頑張って来たから、私も少しずつ自信が持てる様になって……だから」



だから、本当に感謝してるのに。
四月だって聞いていたのに、早まった日程に急に寂しさが押し寄せる。



「ちょっ、泣くなって」

「だってお別れ会もまだできてないじゃないですかぁ」

「お別れ会って……子供じゃないんだからさ」



せめて送別会って言えよ、と苦笑いをして、片山さんは私の額をデコピンして車から追い出した。

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