君と花を愛でながら
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桜が咲いた。
東から吹く風はまだ肌にひんやりと冷たく、薄い生地のトレンチコートの裾を揺らした。
手の中では、赤いチューリップにハートカズラを覗かせた花束が私の歩く速度につられて小刻みに弾む。
駅から続く、ゆるい傾斜のこのバス通りを行くのは、一年ぶりだ。
緊張してドキドキして、怖いくらいなのにどうしても早足になってしまう。
専門学校に通い始めて、最初の一年はまだ良かった。
片山さんが居なくなって、新しいバイトの人が入って、店の空気も少し変わり少しずつ私の知らない空気が増えていくのは寂しかったけど。
それでも、夕方からの短い時間でも店に勤めていられるうちは、まだ『flowerparc』の一員だと思えていた。
だけど二年目からはやっぱりそんな余裕はなくなって、私はバイトを辞めその間一度もこの店には来なかった。
来れば、どうしても寂しくなるのはわかっていたし。
決心が揺らがない自信もなかったから。