純情喫茶―恋する喫茶店―
「消毒」

谷木が玲奈の質問に答えた。

客は誰もいないので、この場にいるのは玲奈と谷木の2人きりである。

「は、離してください!」

「そんなこと言われたら離したくない」

舐めながら、谷木が玲奈に言った。

(ヤダ、って言ってんのに〜)

ガタガタと足が震えていた。

谷木の舌は玲奈の手のひら、指を舐めて行く。

「結構キレイな手ェしてんじゃん。

美人は細かいところまで美人だな」

それがささやきのように聞こえ、玲奈の足はますます震えが止まらない。

(やめてってば〜っ!)

そう言いたくても、声が出ない。

(笙は何してるのよ!

救急箱はまだなの!?)

玲奈は奥の方に目をやる。

「何で感じてんの?」

谷木に言われ、玲奈の心臓が跳ねた。

「感じたら声出してくれても、いいんだけど?」

顔が赤くなったのが自分でもわかった。

「だ、出せれる訳ないじゃないですか!」

「…出せたじゃん」

火傷するかと思うくらい、玲奈の顔は真っ赤になっていた。
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