純情喫茶―恋する喫茶店―
「…ど、どこから見てたの?」

玲奈の質問に、
「どこでしょう?」

笙は舌を出した。

「最初からとか?」

そう聞いた玲奈に、
「さあね、それよりも手当て手当て」

笙はテーブルに救急箱を置いた。

「それから、あの人に何があっても近づいちゃダメだよ?」

「わかってるわよ」

笙は箱から包帯と消毒液を出した。

「あの人が芸能人だからとか言ってる訳じゃないんだよ?

俺たちには約束があるんだから」

玲奈の手当てをしながら笙が言った。

「その約束が果たせるまで、異性との交際も結婚も禁止だよ」
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