純情喫茶―恋する喫茶店―

おかしなお客様

「これだけで、彼らの身の上の方を調査をしてくれ」

封筒に入れられた大金に私立探偵の朝倉は、
「あの、誰の身の上を調査するおつもりで…?」
と、聞いた。

「できない?」

サングラス越しから、依頼者がにらみつけてきた。

「できないと言う訳ではないのですが」

「じゃあ、頼む」

依頼者がソファに深く座った。

「あの、私に誰の調査を?」

依頼者はニヤリと笑うと、
「純喫茶『柚葉』で働く女店長とその従業員だ」
と、言った。

依頼者の態度に、朝倉は返事をして首を縦に振ってうなずくしかなかった。
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