純情喫茶―恋する喫茶店―
「暑いな〜」

黒板をイーゼルのうえに置きながら玲奈が言った。

セミの鳴き声がうるさい夏本番がやってきた。

昨日よりも日差しが増した太陽に、玲奈は倒れそうになる。

しかし、倒れたとしても日曜日以外店に休みはない。

「お休みが週に1回だけって、結構つらいのね…」

セミの鳴き声を右から左へと受け流しながら、玲奈は息を吐いた。

シャツの袖で額の汗を拭うと、玲奈は店の中へ入った。

店内は暑い外とは対照的に、クーラーが効いており、寒いくらいに涼しかった。
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