純情喫茶―恋する喫茶店―
「姉の方は?」

続いて聞いてきた谷木に、
「お姉さんの方はコーヒー・紅茶の勉強のため、いろいろな喫茶店で働き回っていたそうです。

無類の紅茶好きで、紅茶に関してはかなりの知識の持ち主でした」

朝倉はまた答えた。

「ふーん」

谷木は写真をテーブルのうえに投げ出した。

「それで、喫茶店を経営している理由みたいなのはあったか?」

そう聞いてきた谷木に、
「理由ですか?

えーっと、確か…」

朝倉は手帳を開いた。

「何でも、亡くなったお父様の夢だったとか」

そう言った朝倉に、
「夢?」

谷木は聞き返した。
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