純情喫茶―恋する喫茶店―

大事なもの

ピーナッツバターのサンドイッチを食べながら、玲奈はコーヒーを煎れていた。

昼時の喫茶店は客が少ない。

と言っても、開店からようやく1ヶ月くらい経ったのだが。

仕方ないと思いながらサンドイッチを頬張っていると、ベルの音と共に誰かが入ってきた。

玲奈はサンドイッチを落としそうになった。

入ってきた客は、谷木だったからだ。

10日ぶりに彼が来店してきたのだった。

「久しぶりだな」

サングラスを外すと、いつものカウンター席に座った。

玲奈は手に残っているサンドイッチを口に入れると、飲み込んだ。
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