純情喫茶―恋する喫茶店―
「夫婦経営だとか何とかだってあんたたちは言ったけど、本当はあんたたち姉弟が2人で経営している店なんでしょ。

あんたたちの身元はわかっているんですよ。

“朝倉昌幸”って言う探偵さんによって」

そう言った谷木に、
「――探、偵…?」

小さく呟いた笙の声は震えていた。

玲奈は谷木から目をそらすようにうつむいた。

「3日前に、朝倉って言う雑誌記者がきましたでしょ?

彼、僕が調査を依頼した探偵だったんですよ」

得意気にそう言った谷木に、笙は怒りが胸に込みあげてきたのがわかった。

玲奈はうつむいたままで、顔をあげようとしない。
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