純情喫茶―恋する喫茶店―
「関係があるかどうかはわからないけど、確か…母さんの親戚には、たくさんの借金があったんだ。

事業に失敗した…と言うのが借金の理由だったと思う。

それを肩代わりしろとかしないとかで父さんと揉めてた」

幼い頃の古い記憶を思い出しながら、笙は言った。

「――もしかして…お母さんは借金の肩代わりをして、私たちに迷惑をかけないようにするために家を出たってこと!?」

そう言った玲奈に、
「わからない…でも、母さんが追われていることは確かだ」

笙は呟くように答えた。

この場を包み込むように、沈黙が流れた。

そんな2人に遠慮してか、谷木と明菜は口を開こうとしなかった。

その沈黙を破ったのは、
「ねえ、私たちがその借金を返さなければいけないのかな?」

玲奈の方からだった。

「――そうかも知れない…。

それで、彼らは俺を襲ったのかも知れない」

呟くように笙が答えたその瞬間、再び沈黙が流れた。
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