雷獣

優之介さんがキッチンに向かいお湯を沸かす。
2人きりの空間に沈黙が気まずく何か話題がないかと考えていたら
優之介さんの方から話してくれた

「遥香ちゃん、もう体調はええんか？」

「はい、もうすっかり良くなりました。記憶の方はまだ全然ですけどね」
苦笑いしながらそう話す。

「そかそか、それならええな。はい、ココア
熱いからゆっくり飲み」

そう言い渡されたマグカップを受け取る。

「今日は拓哉に言われて付いてきたん？」

「いいえ、私が行きたいって言って来ました
拓哉の先輩ってどんな方なのかなってほぼ興味本位で、すみません...。」

「ええよ、風翔と岳人は元気なんか？」

「はい、あの二人は毎日喧嘩してますけどね」
あの二人を思い浮かべながら話して思わず顔がほころぶ

「やっと柔らかい顔になったな、他の話もしてや」
優之介さんがそう言うのでこの間のお酒の飲み比べや学校での出来事など話した

だいぶ優之介さんと打ち解けていたら拓哉達が上がっていった2階からものすごい音がした。
そしてバタバタと足音が聞こえる
「あ、あかんやつや。」
優之介さんがボソッと言いなぜか私の前に立つ。

私には何のことだか分からすソファーに座ったまま
目の前に立つ優之介さんの背中を見ていた。