タイガーハート
『何で、かばったりなんかしたの…』
真剣な瞳がこちらを見つめた。
「何でって…、」
言いかけると幕を掴んだ両手を後ろに引き、伏見を引き寄せた。
「体が勝手に動いてた」
近付く距離。
『小虎、近い…っ』
両手で俺の胸を押す伏見。
「さっきは…、ごめん」
伏見が上目遣いで見上げる。
潤んだ目。
ぐっと言葉を飲む。
伏見があまりにも色っぽく見えて、余裕がなくなる。
この顔を直視して色々保てる自信がなく、伏見の耳元へ口を寄せた。
耳に息がかかり、くすぐったいらしく、
ひゃ、と小さく肩をすくめる伏見。
構わずに続ける。
「他の男に笑わないで…」
言葉を切ると、伏見の肩に額をつけた。
「お前の事になると、どうにかなりそうだ…」
余裕のなさを悟られまいとしたが、語尾がかすれてしまった。