俺様御曹司の悩殺プロポーズ
キャップを脱いで、薄毛の頭の汗を拭くディレクターさん。
ホッとしている彼に、私は気にしていることを、怖ず怖ずと尋ねてみた。
「あの、私、鈍りがあると指摘されたのですが……大丈夫でした?」
「大丈夫、大丈夫。全く気にならないよ。雨雲に比べたらね」
「時間を2秒も余らせてしまったのですが……それも大丈夫ですか?」
「2秒でも3秒でも10秒でも、OK、OK!ベリーグッド!雨雲に比べたらね」
10秒のずれはマズイでしょうと思いながらも、
ディレクターから合格点を貰えて嬉しかった。
雨雲君に比べたら……ということでは、あるけれど。
その後の二回の中継は、一回目よりは緊張せず、無事に役目をこなした。
雨雲君はスタッフに連れ去られたきり、私一人での中継となった。
雨雲君……多分ガッツリ、怒られているのだろうな。
明日からどうするのか、彼の身が少し心配になった。