俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


『漢字の読み間違い、ら抜き言葉、イントネーション、アクセント!

時間をオーバーさせるな。余らせるな。

一秒の狂いもなく、ピッタリ合わせるつもりで読め!』




は、はぃぃっ!


こんなに気を張って、カメラ前に立つのは初めてかもしれない。


スタッフの祈るような視線の中、

頭の中に響く厳しい風原さんの声に背中を押され、何とか最後の一文にたどり着いた。



「花粉情報は2回目のお天気情報で、詳しくお伝えします。

以上、桜テレビ前から中継でした!」




時間は……2秒も余らせてしまったが、2秒分はニッコリ笑ってごまかした。



カメラがスタジオに戻った後は、大きな息を吐き出し、頭を垂れた。



つ、疲れた……。


入社一年目に初めてカメラ前に立った時より、緊張したかも……。



緊張が一気に抜けて、半分放心状態になった私に、ディレクターが駆け寄ってきた。



「よくやった!

はぁ〜首が飛ぶかと思った〜。

日野さんがいてくれて、本当に助かった〜」



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