俺様御曹司の悩殺プロポーズ
楽しそうな二人と、蚊帳の外の私。
何となく不愉快な気持ちを抱えて、スタジオの出口に向かった。
私にもやることはある。
出演番組はモーニング・ウインドしかないけれど、
東京本社のアナウンス部部長さんから、まずはこっちの仕組みを覚えろと言われているので、
退社時間まで、しっかりお勉強しないと。
スタジオから出て、長い廊下を歩いていると、
後ろから追いついてきた誰かの手が、突然私の頭に乗せられた。
その腕をたどって隣を見ると、風原さんだった。
ちらり後ろを振り返ると、彼が今まで楽しげに話していた相手、佐川亜梨沙は、
私達とは逆方向に廊下を歩いていた。
風原さんに視線を戻す。
問題ありありのお天気コーナーに、どうやらご指摘の言葉はないみたい。
表向きの爽やかスマイルを浮かべるその目に、私に対する優しさのようなものを感じた。
この流れはもしかして……
よくやったと、褒めて貰えるのだろうか?
頭に乗せられた大きくて温かい手の平と、優しい目に、そんな期待をしてしまった。
でも彼は、私の頭をポンポンと軽く叩いただけ。
何も言わずに、私を追い抜き、そのまま行ってしまった。