俺様御曹司の悩殺プロポーズ
風原さんはソファーにもたれて長い足を組み、台本に視線を落としている。
私は鰻の蒲焼き一切れを、箸にぶっ刺して立ち上がると、
二人掛けソファーの、風原さんの隣に座った。
「風原さん、口を開けて下さい」
にっこり作り笑顔で、形の良い唇に鰻の蒲焼きを押し付けてみた。
彼が自分で食べないなら、私が食べさせてあげよう。
そんな気持ちで。
手元の台本から私に視線を流し、風原さんはジロリと睨む。
「食べないと言ってるだろ」と言いたげだが、睨むだけで言えずにいるのは、
口を開いたら鰻を突っ込まれると、わかっているから。
あれ……
これって何だか、いい気分。
いつも風原さんに振り回されている私が、今この時だけは、優位に立っている気がする。
私、風原さんに勝ってるかも!
そんな気持ちになり、心の中にオホホと笑いが込み上げてきた。