俺様御曹司の悩殺プロポーズ
佐川アナには、相変わらず嫌われている私。
毎朝「おはようございます」と挨拶しているけれど、
返事が返ってきたことはない。
「実力もないくせに、なんでモーニング・ウインドに出演しているのよ」
と言いたげに、睨まれるだけ。
佐川アナは、自分にも他人にも厳しい性格みたい。
素質と努力で今のポジションを掴んだ彼女にとって、
ラッキーガールみたいな私の存在は、許せないのだろう。
面白いからという理由だけで、風原さんに連れて来られ、
朝の看板番組に、出させてもらっている。
たったそれだけの、私だから……。
真っ白な天板のダイニングテーブルに頬杖をつき、
ぼんやりと、自分と佐川アナについて考えていた。
ここは風原さんの家で、時刻は21時。
今日は二時間前から、厳しいレッスンを受けていた。
「いいか、朗読や告知はニュースを読むのと違って――
お前の声には、バリエーションがないから――」
私の手元には、風原さんが用意したアナウンサー用の教科書がある。
それを彼は赤ペンの尻で叩きながら、私の向かいで何かを喋っていた。