俺様御曹司の悩殺プロポーズ
デートじゃないという私の説明に、
花ちゃんは「ふーん」と言って目線を上にずらし、何かを考えているような顔をした。
「どうしたの?」
「うーん、涼ちゃんはどうしてあんたを、こんなに構うのかしら?と思って」
「へ? それは、私がずば抜けて出来が悪いから。
あとは、からかって遊ぶためと、ストレス解消の道具?
うん、後者が主な理由かも」
風原さんに構われる理由を、そんな風に考えている私。
でも花ちゃんは納得してくれず、女っぽい仕草で首を傾げてこう言った。
「なんだか、涼ちゃんらしくないのよね。
彼はね、基本的に他人に興味がないの。
一見爽やかで、人当たりが良く見えるでしょう?
あれはね、他人に本当の自分を見せたくないからで、自分も他人に深入りしたくないからなのよ。
爽やかな笑顔を武器に、近付く他人を適当にあしらう能力に長けているのね。
他人と自分の境界線をきっちり引いて、誰にも中に入らせないし、自分も出て行かない。
それが涼ちゃんなのに、あんたを前にしたら、自分から線を踏み越えちゃう気がするわ。
どうしてかしら……?
まぁね、涼ちゃんが本性を出してくれるのは、嬉しいことよ。
あたしは、裏の彼の方がタイプなの。ウフッ。
ねぇ小春ちゃん、あたしがどうやって涼ちゃんの本性見たのか聞きたくない?
聞きたいでしょ?
あのね、あれは5年前のこと。トイレに入った彼を待ち伏せていたあたしは――」