俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「そうだったわね」と花ちゃんは、声のボリュームを落としてくれた。
私達に集中していた周りの視線も、すぐに散っていく。
テレビ局のスタッフは、皆忙しい。
食べるというより詰め込んで、一人二人と、社食から出て行った。
誰にも注目されてないことを確かめて、花ちゃんが続きをヒソヒソ声で話し出す。
「ちょっとちょっと、抜け駆けなんて許さないわよ〜?
あたしもデートに付いて行くわ!」
「花ちゃんは、これからまだ仕事だって言ったじゃない?
それに、デートじゃないから。これも勉強なの。
私の食レポが酷いらしくて、食事しながら食レポの個人レッスンなんだよ」
デートなんて、そんな甘い誘いを受ける理由はない。
人気No.1の風原さんが、ちんちくりんのダメ女子アナとデートするはずないのだ。
デートではなく、いつもの個人指導。
それを今日は自宅ではなく、お外でするだけ。
ただそれだけだと、十分に理解しているはずなのに、
なぜか今日は、朝からソワソワしている私。
持っている中で一番いいワンピースを着てきたし、
いつもは仕事終わりにメイク直しなんてしないのに、社食に来る前に花ちゃんを捕まえて、
「可愛くメイクして下さい!」とお願いしてしまった。