俺様御曹司の悩殺プロポーズ
ふーん。
じゃあ、フランスと日本のハーフなのかな?
立花さんね。
フランス語の名前より覚えやすくて助かる。
「涼とは、小学校が一緒だったんだ。
今でも切れずに、ずっと友達。
多分、僕が涼の唯一の友達……」
唯一の友達……?
仕事上、知り合いが多そうな風原さんなのに、
友達と呼べる人は、一人しかいないの……?
立花さんの口元は笑みを形作っているけれど、
風原さんを見る青い瞳が、なぜか淋しげだった。
風原さんは、彼の言葉を否定しない。
ただ黙って、紅茶のカップに口を付けるだけ。
“唯一の友達”
それについて、聞きたくても聞けずにいた。
三人とも口を開かず、変に無言の間が続いた時、
ピリリと着信音が鳴り響いた。
その音は私のスマホではなく、風原さんのスマホから。
スーツの内ポケットからスマホを取り出した風原さんは、
ディスプレイを見て「チッ」と舌打ちする。
嫌そうに顔をしかめてから、すぐに表情を一変させ、
テレビ見る爽やかな笑顔を作って、通話に出ていた。
「はい、風原です。水上さん、お疲れ様です。
はい、はい――、ああ、その件ですか。
今手元に資料がないのですが、私の記憶にある情報のみで宜しいですか?」