俺様御曹司の悩殺プロポーズ
目の前には心配そうに、
「何かあったのか?」と聞いてくれる風原さんがいた。
一拍置いてから、少し笑って答える。
「何かって、何がですか?
一行飛ばして読むなんて、私って本当にマヌケですよね〜。
自分でも飽きれちゃいますよ、あははっ。
今度はちゃんと読みます。
もう一度最初から、お願いします!」
一枚目のニュース原稿に視線を落とし、「始め」の言葉を待っていた。
でも、待っていても合図の言葉は訪れない。
風原さんはストップウォッチを置いて立ち上がり、
テーブルを回って、なぜか私の横に立った。
「風原さん……?」
見上げた私の顎に、長い指が掛かる。
真顔の彼が突然、顔の距離を詰めてきた。
驚いて固まる私。
至近距離には、探るような二つの瞳があった。
形のよい唇は、ゆっくりと更に距離を縮めながら、こんな脅しを口にした。
「隠し事を白状するなら、離してやろう。
早く言わないと、唇が当たるぞ?
それとも……唇より、耳の方がいいか?
お前の好きなこの声で、甘い台詞でも囁いてやろうか……?」