俺様御曹司の悩殺プロポーズ
私より忙しい風原さんのヘアメイクに先に取り掛かる花ちゃんが、
離れた椅子に座る理由を、私に代わって答えてくれた。
「あの子、怒られて、いじけて、すねてるのよ〜。
まったく、手の掛かるお子ちゃまねぇ。
涼ちゃんにはお子ちゃまより、大人のあたしの方がお似合いだと思うの。
ねぇ、今夜ふたりで飲みに行きましょうよ〜。
ウイスキーの美味しいお店、見つけたの。
お子ちゃま小春は放っといて、あたし達は大人のお・つ・き・あ・い。ウフッ」
花ちゃんの大人の誘いをスルーした風原さんは、
深い溜め息だけを口から漏らしていた。
その溜め息はきっと、私に対する呆れの溜め息。
私は椅子の上に膝を抱えて丸くなり、その溜め息から身を守っていた。
ヘアメイクを終え、爽やかで誠実な表向きの姿に変身を済ませた風原さんは、
「仕事に集中しろよ」
そう一言言い残して、メイク室から出て行った。