俺様御曹司の悩殺プロポーズ
風原さんは「楽屋37番で待っている」と言って、通話を切った。
スマホを暫く見つめてから、鞄に突っ込み、
駅に向けていた足を桜テレビに向けた。
元来た道を引き返す。
早歩きで戻りながら、ギュッと締め付けられるような胸の苦しさを感じていた。
風原さんは私を怒っていなかった。
呆れてもいないし、嫌いになったわけでもないみたい。
――俺が中々突き止められなかったせいで、お前に嫌な思いを――
私が勝手に落ち込んでミスしたことなのに、自分の責任のように感じていたなんて……。
今日の反省会後の彼は、忙しそうにすぐにどこかへ消えてしまった。
落ち込む私に一声も掛けてくれないから、完全に見捨てられたように感じてしまった。
でも、違ったみたい。
私の100倍も忙しい仕事の中で、早く犯人を見つけなければと、一生懸命に調べてくれていたんだ。
私のために……。
申し訳なさとありがたさで、胸が一杯になった。
涙の滲む目元を手の甲で押さえて、
歩調を小走りに変え、風原さんのもとへと急いだ。