俺様御曹司の悩殺プロポーズ
まだ呼吸が落ち着かない私の唇を、彼は親指の腹で拭い、
その指でそのまま自分の唇も拭った。
長いキスの余韻で頭の中はまだぼんやりしているけれど、
彼の瞳から熱が冷めない内にと思って、期待をこめて確かめてみた。
「風原さんは、私が好き……そう思っていいんですよね?」
「そうだ」と言って欲しかった。
今なら「好きだ」と言ってくれそうな気になっていた。
でも……言われたのはこんな言葉。
「期待してもいいと言ったが、今はまだ、お前の期待する言葉を言ってやれない。
モーニング・ウインドで共演している間は駄目だ。
お前が番組を卒業して一年経ったら、きちんと言葉にしてやる」
私がモーニング・ウインドを卒業して一年後……。
私の契約は始めから一年とされているので、
それが更新されない限り、来年の4月になれば北海道放送局に帰ることになる。
ということは、最短でも一年半後まで“好き”の二文字は聞けないわけで……。
「随分、先ですね」
「仕方ないだろ。自分の番組を、自分で汚すわけにいかないからな」