俺様御曹司の悩殺プロポーズ
 


まだ呼吸が落ち着かない私の唇を、彼は親指の腹で拭い、

その指でそのまま自分の唇も拭った。



長いキスの余韻で頭の中はまだぼんやりしているけれど、

彼の瞳から熱が冷めない内にと思って、期待をこめて確かめてみた。



「風原さんは、私が好き……そう思っていいんですよね?」



「そうだ」と言って欲しかった。

今なら「好きだ」と言ってくれそうな気になっていた。


でも……言われたのはこんな言葉。



「期待してもいいと言ったが、今はまだ、お前の期待する言葉を言ってやれない。

モーニング・ウインドで共演している間は駄目だ。

お前が番組を卒業して一年経ったら、きちんと言葉にしてやる」



私がモーニング・ウインドを卒業して一年後……。


私の契約は始めから一年とされているので、

それが更新されない限り、来年の4月になれば北海道放送局に帰ることになる。


ということは、最短でも一年半後まで“好き”の二文字は聞けないわけで……。



「随分、先ですね」



「仕方ないだろ。自分の番組を、自分で汚すわけにいかないからな」



< 275 / 452 >

この作品をシェア

pagetop