俺様御曹司の悩殺プロポーズ
慌てる私の耳に聞こえたのは、
「顔色が悪いように見えますが……」
そんな風に心配する、彼の言葉だった。
佐川さんは、顎に掛かった彼の指をやんわりと外して、
「大丈夫よ」と微笑み返している。
そう言われると、確かにいつもより青白い顔色に見えた。
上手くチークでごまかしていたから、朝挨拶した時は気づかなかったけど……。
体調が悪いのかな?
佐川さん、大丈夫かな?
生放送が始まるまで、後30秒と迫っていた。
「佐川さん、駄目だ。足元がふらついているじゃないか。休んだほうが……」
心配する風原さんの言葉の途中で、佐川さんが片手で自分の目元を覆った。
彼女の体は前後に揺れ、それから、前のめりに倒れていく。
スタジオ内には女性スタッフの短い悲鳴が響き、
私も外で、一緒に悲鳴を上げていた。
倒れ込む彼女の体は、床に激突する前に風原さんの腕によって支えられていた。
番組開始寸前のスタジオは、大パニックだった。
スタッフ数人がすぐさま駆け寄って、意識を失った佐川さんを抱え、フレームアウトする。