俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「15秒前!」
と叫ぶ、スタジオADの声。
「救急車!」「オープニングは?」「朝採りニュースを後回しに!」「代役は?」
慌てるスタッフさん達の声が飛び交う中に、
「皆さん、落ち着いて!」
と、聞き取りやすい風原さんの声が響いた。
「外中継の日野小春を、スタジオに呼んで下さい。
オープニングは俺一人でやります。
その後の朝採りニュースは、日野と二人で。
コーナーの順番はずらさなくていい。ずらすと深知りニュースとの関連性が崩れてしまう。
小春、聞こえているか?
走ってスタジオまで来い!急げ!」
表向きの彼は、自分のことを“私”と言い、
私のことは“日野さん”と呼ぶ。
それが、“俺”“小春”となっているということは、
内心風原さんも、相当に慌てているということだ。
そして……誰より慌てふためいているのは、この私。
急げと言われて反射的に屋内に駆け込み、エレベーターを待っていられず、階段を駆け上がってみたものの、
「佐川さんの代役なんて無理だよ!」
と、心で叫んでいた。