俺様御曹司の悩殺プロポーズ



お偉いさん達の挨拶がやっと終わった。

各テーブルに刺身の舟盛りが運ばれてきて、乾杯の準備に皆が動いていた。


私はまだぼんやりと風原さんを見つめたまま。

私服も素敵だと思って、口を半開きにして見ていた。


すると、遠くの彼と目が合った。

それを喜んだ私だけど、喜びは一瞬だけで終わってしまう。


風原さんは私からすぐに目を逸らし、隣の佐川さんに何かを話しかけて、グラスにシャンパンを注いであげていた。


胸にチクリと痛みが走る。

距離を置く必要があるのはわかっていても、そんな態度を取られると泣きたくなってしまう……。


勝手に傷つく私に、隣から花ちゃんの呆れている声がした。



「ちょっと、小春ちゃん。乾杯はビールでいいの?って聞いてるでしょ?

ぼけっとマヌケた顔してないで、あんたも他の人にビール注ぎなさいよ。オカマより気の利かない女よね〜」


「あ……ごめんなさい」



花ちゃんに叱られて、やっと風原さんを見るのはやめた。

凹んでいてもどうにもならないもの。

忘年会はみんなと交流することに意識を向けないと、ダメ女子アナの上に、感じが悪いと言われてしまう。


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