俺様御曹司の悩殺プロポーズ
「はぁ……」
今日、何度目かの溜め息をつくと、花ちゃんにヘアブラシで頭をポコンと叩かれてしまった。
「元々いいとこなしのダメ女なのに、元気までなかったらあんたはアレよ? ただのマヌケ。
一応女子アナなんでしょ? シャキッとしなさい!
涼ちゃんを見なさいよ。今日も爽やかで凛々しくて、王子様オーラが全開よ〜!
ああ〜ん、あたしもう我慢出来ない!」
私の隣の椅子には、風原さんが座っていた。
数社の朝刊の社会面に目を通している彼は、後ろから花ちゃんに抱きつかれてムッとしていた。
「花山田さん、真面目に仕事をしてください。
時間がもったいないので、早くヘアメイクを終わらせてもらえますか?」
「あ〜ん、釣れないんだからぁ。
わかったわよ〜」
私は明らかに負のオーラを漂わせていても、風原さんは一見、いつもと変わらない。
仕事中は爽やかな笑顔をカメラに向け、素敵な声で的確な情報を視聴者に届けている。
カメラが回っていない時も、真面目に真摯に仕事に打ち込むだけで、悩みのある様子など微塵も感じさせない。
風原さんだって不安の中にいるはずなのに、それを顔や態度に出さないでいられるなんて凄いよね……。