俺様御曹司の悩殺プロポーズ
◇◇◇
風原さんのお父さんの電話から、二週間ほどが経過していた。
風原さんは政治家になるつもりはないというはっきりした意志を、お父さんの携帯電話の留守電に改めて残したそうで、
それに対しての返事のようなものは、まだもらっていなかった。
今のところ箱根の一泊旅行についての記事はどこの雑誌にもスクープされていなくて、
風原さんの言ったように、アレはただの脅しだったのかもしれない。
でも……。
本当に脅しで済むのだろうか?
彼のお父さんは怖い人ーーそんな認識を持ってしまった私には、簡単に終わる気がしなかった……。
期待と不安が入り混じる中で過ごして、今日は火曜日。
私の担当コーナー、スイーツ探偵がある曜日だ。
いつもなら早朝から気合い十分で鼻息荒く挑むのに、今日は無意識に溜め息をついてしまう。
メイク室で私の髪を結ってくれている花ちゃんが、元気のない私の様子に気づいた。
「ちょっと小春ちゃん。どんよりした顔して、どうしたのよ?
もう時期、東京を離れるから淋しいの?
仕方ないじゃない。北海道に帰ってもメールで構ってあげるから、元気出しなさいよ」
「うん、ありがと……」
心配してくれる花ちゃんだけど、気持ちが落ちている理由はそれじゃない。
こうしている間にも、私と風原さんの一泊旅行の情報がどこかに漏れているかもしれないと考えて、不安でたまらない。