俺様御曹司の悩殺プロポーズ
怒鳴られてビクッと震えた私の肩を、風原さんが抱き寄せてくれた。
「風原さん……」
泣きそうな目で見上げると、困った顔をしながらも少しだけ微笑んでくれた。
それから彼は私を離し、前に向けて深々と頭を下げて謝罪した。
「大変申し訳ありませんでした。全ての責任は私にあります。
彼女を自宅に連れ込んだのも、温泉旅行に誘ったのも私です。
全ては私の不徳の致すところで、どうか日野さんだけは許してもらえないでしょうか」
それを聞いて私は慌てた。
風原さんの腕を掴んで揺す振り、顔を上げさせた。
「風原さんだけが悪いなんて、そんなのおかしいです!
だって、旅行に連れて行ってくれたのは私が淋しがったからでしょう?」
「日野さんは少し黙って……」
「黙っていられないですよ! 私も悪いんですから!」
焦って喚き立てる私と、おとなしくさせようと困り顏の風原さん。
上役達は呆れた顔を向けていて、社長は難しい顏のまま、何かの用紙を手に椅子から立ち上がった。
ゆっくりとこちらに向けて社長が歩み寄り、その威圧感に私は押し黙る。
社長は私達を交互に見てから、重々しい口調で言った。
「庇いあっても、どうしようもないのだよ。
明日、この記事が世に出てしまう現実は変えられないのだからな」
社長は私に二枚の用紙を手渡した。
それはFAX用紙。
風原さんではなく私に渡したということは、彼は既に見たものなのかもしれない。
一枚目の紙に視線を走らせ、私は目を見開いた。
それは“週刊ウェンズデイ”という雑誌編集部から送りつけられたものだった。
週刊ウェンズデイは芸能人や有名人のスキャンダルをあることないこと、面白おかしく書き立てることで注目を浴びている週刊誌。
私達からすると、決して関わりたくない恐ろしい雑誌だ。