俺様御曹司の悩殺プロポーズ
廊下を歩きながら頭の中で風原さんの言葉を反芻していると、
そう言えば『一つ提案が……』と、何やら気になる言葉を言っていたのを思い出した。
提案って、どんなこと?
もしかして、この窮地を打開する有効な一手があるのではないかと期待が湧いてきた。
俯いていた顔を上げて一瞬喜びかけた私だったけど、すぐに首を横に振って大きな溜め息をついた。
あの記事が載った週刊ウェンズデイは明日発売だから、既に全国の書店に向けて発送されているはず。
発売の差し止めは不可能で、風原さんの嘘だらけの女性問題が明るみに晒される事実は変えられない。
わずかに期待するのは、それを読んだ世間の人達が風原さんを嫌いにならないでくれたらいいのにということだけ。
私達の職業は、イメージが大切。
汚れてしまったアナウンサーはどの局だって使いたくないだろうし、復活するのは容易ではない。
これまで桜テレビに大きく貢献してきた風原さんだから、まさか辞めさせられるところまではいかないと思いたいけど……。
あまりにもバッシングが強ければ、局だって風原さんを抱えていられないかもしれない。
私はどうなってもいいから、風原さんだけは……。
廊下の真ん中で足を止めて会議室の方を振り向き、祈りを呟いた。
「お願いします……風原さんからアナウンサーの仕事を奪わないで……」