俺様御曹司の悩殺プロポーズ
心の中は不安一色だけど、それを顔に出してはダメ。
明日からはどうなるかわからなくても、今の時点ではまだ私もプロのアナウンサーだから、きちんと笑顔で話さないと。
視聴者に気持ちよく情報をお届けするために……。
そうやって自分に言い聞かせ、二回目三回目のお天気中継も無難に乗り切った。
ピンマイクとイヤホンを外して、「お疲れ様でした」とスタッフさんに返した。
今は7時54分。
番組終了まで、あと6分となった。
外は北風が吹き抜け、凍えるような寒さだ。
雨雲くんは足早に社屋に向かっているけど、私はスタッフさん達と一緒にまだ外にいた。
歩み寄ったのは、モニター画面。
スタジオの佐川さんがコメンテーター達の意見を上手にまとめていて、
風原さんは今日の放送を終わりに向けて、順調に進めていた。
画面の中の彼を見て苦しくなり、コートの胸元をギュッと握りしめた。
私は今日限りで下ろされても仕方ないと覚悟しているけど、風原さんだけは……。
この先もずっと、朝の看板番組モーニング・ウインドで彼の活躍を見ていたい……。
そんな願いを心で呟いた時に、お天気コーナー担当ディレクターさんが、ヘッドホンをずらして私に言った。
「日野さん、今すぐスタジオに入れって!
これ、副調整室からの指示」
「……え?」