俺様御曹司の悩殺プロポーズ
胸のドキドキは速度を上げ続け、それに伴い呼吸も早くなっていた。
佐川さんが私の背中を撫でてくれながら、
「あと1分しかないわよ……」
と冷静に呟いていた。
それが聞こえたかのように風原さんがカメラではなくこっちを見て、私の名前を呼んだ。
「日野小春さん、こちらに来ていただけますか?」
すぐには歩き出せない私の背中を、佐川さんがドンと押した。
つんのめるようにセットの上に飛び出してしまった私をカメラが映し、顔が真っ赤に染まった。
風原さんの相手が私だと、視聴者の皆さんは今この瞬間に知ることとなる。
「うっそー‼︎」というお茶の間の声が聞こえてきそうな気がした。
テレビ出演でこんなに恥ずかしいと思ったのは、いつ以来か……。
風原さんとの最初の出会い、毛糸のパンツを晒してしまった時以来かもしれない。
風原さんに手招きされて隣に立つと、彼が私に体を向ける。
セットの中央で向かい合い、彼は真顔で私に言った。
「日野さん、驚かせてしまい申し訳ありません。
今まで関係を曖昧にして、悲しい思いをさせたことについても謝らせてください」
謝ってくれても、何も返事ができなかった。
口を開いてしまうと涙が溢れてしまいそうな気がして。