俺様御曹司の悩殺プロポーズ
北海道でのレギュラーは、土曜ミルクカフェの一本だけだった。
11本なんて、サバ読み過ぎもいいところ。
自分で言うのは悲しいけれど、アナウンサーとして確かな技量なんて持ち合わせていない。
あれもこれも赤点だらけで、まだニュース原稿を読ませてさえもらえない。
頑張ろうという気持ちはあってもいつも空回りで、怒られてばかりのダメ女子アナなのに……
大嘘ぶっこかれたら、後々私が困るんですけど!
風原涼は一見誠実そうな爽やか全開スマイルで、私が有能な女子アナだと言い切った。
「慣れない東京で今は戸惑いもあると思いますが、すぐに実力を見せてくれることでしょう。
私は彼女に大いに期待しています。
いずれモーニング・ウインドを支える柱の一つとなってくれると。
ね、日野さん?」
“ね?"……じゃねーよ!
私のハードル上がりまくりで、どうしてくれるのよ!
今すぐ間違いを訂正して!と言いたい。
言いたいけど言えなくて、目の玉が飛び出るほどに見開き、口をパクパクさせるだけだった。
周囲からは、
「へぇ、そうなのか」
「風原涼が認めた女子アナか。それは楽しみだ」
嘘を信じてしまったそんな会話が聞こえきて、更に焦る。
佐川亜梨沙は美しい眉間に、似合わないシワを寄せ、
ジッと私を睨んでいた。