俺様御曹司の悩殺プロポーズ
今は夜のニュースを放送中で、報道フロアの一角の『顔出しブース』と呼ばれるスペースで、
ベテランアナウンサーが臨時ニュースを読み上げていた。
アクリル板越しの、その背景に入り込まないように遠回りして、出口に向かう。
すれ違う人達に「お疲れ様です」と挨拶しても、返事が返ってこない。
皆、忙しそう。
それぞれの番組に合わせてスタッフの出社時間はまちまちで、テレビ局は24時間眠らない。
エレベーターに乗って一階へ。
帰り支度をした三人の男性職員が、私より先に乗っていた。
全員が同じ階で下りる。
そこが一階だと思い、私も続いて下りると、なぜか見たことのない景色が広がっていた。
あれ?と思い、階表示を確認すると、ここは一階ではなく地下一階となっていた。
しまった。
下降するエレベーターに乗っている人は、皆、一階で下りるものだと思い込み、
ボタンを押し忘れていた。
地下一階は駐車場。
むき出しのコンクリートの廊下が味気なく、他の階より少し寒かった。