俺様御曹司の悩殺プロポーズ
エレベーターは、もうこの階にはいない。
私を置いて、とっくに上昇してしまっている。
仕方なく右向け右して、細い廊下を進み、奥の階段を上ろうとした。
階段を一段、二段上ったところで、足が止まる。
上から誰かが下りてきて、その顔を見て、うげっと心で呟いた。
それは、風原涼。
私を見て、眉を上げて少し驚いてから、
コツコツと革靴を鳴らして下りてきて、私の一段上で立ち止まった。
彼も今帰りとは……。
明日の出勤は、彼の方が私より一時間は早いと思う。
初日だし、確認事項も多いだろうから、多分3時半には局入りするんじゃないだろうか。
それなのに、21時過ぎのこの時間、まだ退社していなかったとは驚きだ。
やっぱり人気No.1のアナウンサーの忙しさは、他のアナウンサーと比較にならない程なのだと、改めて思った。