俺様御曹司の悩殺プロポーズ
私にも渡された“Qシート”と呼ばれる番組進行表には、
秒単位の細かなスケジュールがびっしりと書き込まれている。
地方放送局でもQシートは欠かせないし、もちろん使っていたけれど、
こんなに細かなスケジュールの物は、初めて見た。
MCはこれを頭に入れて番組を進行させないといけないので、かなり大変。
風原さんも佐川アナも、本当に凄いアナウンサーなのだ。
全国放送の朝の情報番組のQシートを見て、打ち合わせを聞いて、
ただただ圧倒される私は、口を半開きにして話を聞くだけだった。
打ち合わせから、VTRをチェックしながらの原稿の読み合わせに移り、
それらが終わったのは、一時間後のことだった。
佐川アナは集中力を一旦緩めて、席を立つ。
その時初めて私の存在に気付いたようで、顔をしかめて急に不機嫌になった。
やっぱり嫌われているという事実に幾分肩を落としながら、
「佐川さん、今日からどうぞ宜しくお願いします」
と頭を下げた。
予想はしていたけれど、返事はやはり返ってこない。
彼女は「先にスタジオ入りしています」と風原さんだけに告げ、
ヒールの音を鳴らして、報道フロアから出て行った。