俺様御曹司の悩殺プロポーズ
小さく溜め息をもらす私に、風原さんは「気にするな」と言ってくれた。
それから、今まで佐川アナが座っていた椅子に座るよう、私に命じた。
何で?と戸惑う私に、彼は言う。
「佐川の原稿、今読んでみろ。
時間が余ったから、練習に付き合ってやる」
机上には、VTR用の小型モニターと、これから番組内で佐川アナが読む、原稿のコピーが置いてある。
肩を押されて、座らされた。
風原さんは私の隣に椅子を寄せて座り、モニターを操作してVTRを流した。
「5番の記事を、次のVTRが流れると同時に読み始めろ。
時間は32秒だ」
「は、はい!」
本番じゃなくただの練習なのに、突然のことで緊張してしまった。
顔が熱く、胸がドキドキうるさい。
そうなってしまうのは、アナウンサーとしての憧れ、風原さんに、真横からジッと見られているせいでもあり、
忙しく働くスタッフさん達が、遠巻きに、私達の様子をチラチラ見ているせいでもあるけれど。