俺様御曹司の悩殺プロポーズ
シナリオはこんな始まり方で、天気予報に繋げるはずだった。
それなのに、実際は……。
隣から聞こえてきたのは、泣いているかと思うほどに震えた声。
「あ、雨雲晴男で、ごごごゴザイマス……。
桜が満開でき、綺麗で、ゴゴゴご覧下さ……」
“ゴ”が多い。
いや、問題はゴだけじゃない。
ガッチガチの、噛っみ噛みじゃないか!
思わずカメラから目線を外して、彼を見てしまった。
冷や汗流して、ぶるぶる震え、紺色ジャケットのワキに汗染みが……。
さっきまで私を馬鹿にしていたあの勢いは、一体どこへ行ったのだろう?
もしや、強がり言ってただけで、カメラ前に立つのは初めてなの?
そうならそうと言ってよ!
もうっ!
内心そう叫んで、これはマズイと慌て始めた。
お天気担当ディレクターを見ると、彼もピンチと言いたげに慌てている。
私もスタッフ達も全員がヤバイと焦る中で、
「それっそれでは、に、にし、西日本の、今日のお天気で、すが……」
ど緊張の雨雲君は、噛み噛み状態のまま、天気予報に入ろうとしていた。