迷い羊に連れられて
...前の学校で一時期、若い先生をどうやって落とすかという遊び(というかこっちからしたらただの迷惑行為だが)が流行っていた。

俺も含めた数人の若い先生が被害にあったことがあった。

野々瀬がそんなことをするはずがないとは思っている。

しかし今考えると、
どうして優しくしているか質問されたこと、
ホテルに一緒に泊まってほしいと頼まれたこと、
友達の家は泊まれないこと、
更に鍵をなくしたこと自体が嘘なのではないかと疑い始めてしまった。



「そんなことは置いといて、俺はベッドでもパソコンできるから野々瀬はそこで勉強しな。」

「...はーい。」



あれから数時間後に野々瀬は寝ると言ってベッドに入ったから、俺は備え付けの小さなテーブルで仕事を進めた。

ふと野々瀬の方を見ると、すでに静かな寝息をたてていた。

まさか........な。
< 86 / 188 >

この作品をシェア

pagetop