桜の花が散る頃に
 俺から自由を奪って、何が楽しいというのだ。
 神様なんかいるわけない。
 いるとするならば、何故俺の身体は「辛い」と言っているのだ。
 昔から弱っていた、この身体のせいで、周りには迷惑をかけてばかりだった。
 悪いことばかりの人生。
 正直続けることに意味はないのだろう。
 例え俺が死んだとしても誰一人として悲しまないだろう。
 家でも同じだ。
 俺には、優秀で身体の丈夫な兄貴がいる。
 きっと兄貴に俺の幸せを取られたのだろう。
 なにも世界一不幸な男だなんて馬鹿げたことは思わない。
 それでも、辛いという現実には変わりないのだ。
 正直兄貴だって両親だって俺が死んだとしても、手間のかかるやつが消えたと喜ぶだろう。
「直樹はすごいわね」
「直樹は偉いな」
 それが両親の口癖。
 俺は、今日の今まで一度も言われたことはなかった。
 きっとそれが愛情の違いなのだろう。
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