ショータロー☆コンプレックス2
「その通り。だから、うまくコントロールできずに、もっと悪化していた可能性だってあるのよ。それがお薬飲むくらいで治まっているんだから、この状況をありがたいと思わなくちゃね」


『お前にはまだ大分先の話だからピンと来ないだろうけど、歳取るとあちこちガタが来るもんなんだよ』


ふいに、遠い昔にじいちゃんがしみじみと発していた言葉を思い出した。


じいちゃんも血糖値と血圧が高くて、やはり定期的に通院して薬をもらっていたんだけど「何でお薬飲んでるのに治らないの?いつまで飲むの?」と素朴でなおかつ残酷な質問をしたオレに対して、そのように返答したのだった。


今のオレならそれが【持病】というもので、薬を飲めば翌日には治る、というような単純なものではないという事、それとうまく折り合いをつけて日常生活を送って行かなくてはいけないものなのだという事を理解できるけれど。


だけど小さい時はホント、長い期間、しかも毎日かかさず薬を飲み続けなくちゃいけないなんて、なんてわずらわしくて怖い事なんだろうと思っていた。


「あ、来たかしら」


するとふいに、女性は玄関付近に視線を向けながら呟いた。


オレもつられてそちらを見ると、ガラスのドア越しに、白のセダンが駐車場を横切って行くのが確認できた。


と同時に、辻谷が小走りにドアに近付き、取っ手に手をかける様子も見て取れる。
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